§4数理論理学・Section 4反駁・スコーレム化・節集合・エルブラン解釈
Module 2 / 5

スコーレム標準形

∃ を消し去る

開発者向け解説

コンピュータは ∀ と ∃ が混在した式を直接扱うのが苦手です。そこで「式の矛盾性を保ったまま ∃ を完全に消す」魔法のテクニックを使います。これがスコーレム化です。

ルール:∃x の前に ∀ がなければ、x を「特定の名前(定数 a など)」に置き換えます。 前に ∀y があれば、x は y に依存して変わるため、 「関数 f(y)(スコーレム関数)」に置き換えます。

定理 4.1 により、この強引な変形でも「矛盾するかどうか」という性質は完全に保たれます。 ただし元の式と同値になるわけではない点に注意。 下のパズルでは、赤くなった ∃ をクリックして、定数か関数に置き換えてみてください。

Theorem 4.1

論理式 のスコーレム標準形を とする。 このとき

つまり、扱いにくい量化子混じりの式 を、 コンピュータが扱いやすい に置き換えて 「矛盾しているか」を調べてよい — というお墨付き。反駁手続きの根拠そのもの。

証明(∃ を 1 つ消す場合の双方向 ⇒ 数学的帰納法)

  1. は充足不可能だが、スコーレム化後の は 充足可能である、と仮定する。すると を真にする解釈 が存在する。

数学的帰納法へ: 上の双方向は「∃ を 1 つだけ消す」場合の補題。式 の中の存在量化子を 左から順に と消していけば、 各ステップで充足不可能性は不変。よって が結論される。 ∎

同値性ではない(保たれるのは充足不可能性だけ)

論理的に等価ではない。 同じモデル上で真理値がズレる例がある。

領域 D = {1, 2}, P(2) のみ真
真(x=2 が証拠)
スコーレム定数 a が a := 1 と解釈された場合
偽(P(1) が偽)

しかし「どんな解釈でも偽である(充足不可能)」という性質に絞れば、 は完全に一致する。反駁は 充足不可能性だけ を見るので、これで十分。

プリセット式

いまの式(赤い ∃ をクリック)

P(x)

ステップ履歴

  1. Step 0もとの式∃x P(x)